付き合ってからお互い良い部分しか見せてないわけで、肝心な時のトリセツはまだ手元にはなくて……
あれだけ支えたいと言っておきながら……
こんな近くに居ながら……



「智くん……」



彼女の声にハッとなって体を離す。
大きな目が、口が、何を伝えようとしてるかなんて勉強不足の僕には検討もつかない。
心の中の不安が伝わってなければいいけど。



「先……寝るね?」



「え…あ、うん」



優しく微笑んで僕の腕をすり抜けていく。
「おやすみ」としか言えない情けない自分。
僕は今……君にとってどんな存在なんだろう。