二次会なんて行かせずに、周りに群がる野郎どもを振り払い僕は君の手を取った。
まるで新婦をさらいに来た男のように。
今考えるとかなりヤバくてイタイ奴なんだけど。
ホテルを出て右も左もわからずに、ただ手を引き走り出す。
少し走ったところで自分の仕出かした事態に血の気が引いた。
彼女、絶対迷惑な顔してるよ…!
ダメだ、どうしよう…!
見ず知らずの男に勝手に外に連れ出されて、後先考えずに何やってんだよ僕は…!
「すみません勝手に」と恐る恐る振り返った時も、息を整えながら僕を見るそのキレイな瞳に撃ち抜かれたんだ。
ウソだろ……何でこんなに美人なんだよ。
頭が真っ白になっちまう……。
「迷惑ですよね、すみません。戻りましょうか。お友達びっくりしてますよね。」
穴があったら入りたいとはこの事だ。
一瞬でも連れ去りたいだなんて自分勝手な衝動を抑えきれなかった自分が心底情けない。

