その後、患者は僕だけになり、
その場に居た全員に知れ渡ることになる。
だ、大丈夫、想定内だ。
カルテ見たら、何気ない顔してちょこちょこ来てんじゃんって思われるんだろうな。



「君が恋人なんだって?」



奥からガタイのデカイおじさんが出て来てびっくりしたけど、「院長です」と紹介され固まる。



「お、お世話になってます」と緊張気味の僕に院長はガハハと笑う。



「いや〜人気No.1の伊藤くんだけどあまり恋人の気配見せないから心配してたんだよ、やっぱり男社会だから仕事中は男勝りな性格だしね」



「ちょ、やめてください」と顔真っ赤に反論してる。
終始和やかなムードに、彼女の周りからの愛され具合を垣間見た。



「伊藤先生普段は甘えてきたりするんですか〜?ニャンニャンしてたりして〜」と勝手に盛り上がっている。
ハハハ、僕何も答えてないんだけど。
これ以上は彼女が堪えれなくなったのか。