「後期になったら弾けないだろうな〜」


優しく鳴り響くギターの音色。
心地良く耳に入ってくる。
赤ちゃんにも聴こえてるのかな?
君のママは天才だぞ〜。
それに美人だよ。
だから絶対ママに似るんだぞ?


「あっ!動いた……」


「えっ!本当に!?」


すかさず手を当てると微かにポコッ、ポコッて。
手のひらに伝わる振動に2人して泣きそうになる。
蹴ってるの?パンチなの?
めちゃくちゃ可愛いじゃん。


何もかもが一大事で全てが感動に繋がる。
ひとつひとつにオーバーリアクションなパパとママを許してね。
迎え入れる準備は着々と整っています。


ただシンプルに彼女のお腹にキスをしているアングルで毎月撮り始めている。
その為に一眼レフを買うという徹底ぶり。


毎回ドキドキしながら検診を受けて「週数通りの大きさに成長してますよ」と言われるたびに安堵の笑みがこぼれる。


どうやらお腹の子は……姫らしいです。


少し先に夢見てた、自分の子供にヘアスタイリングをしてあげるって夢が叶いそう。


「女の子……絶対芹に似てほしい」


「そう?私はどっち似でも宝物には変わりないよ」


「そ、そうだけどっ…!」


いや、芹似の方が勝ち組でしょ。
出来ればそうなったら間違いなく幸せです。
でも2人の一番の願いは無事に健康に生まれてきてもらうこと。
元気な産声を聞かせてほしい。