すると「畑中さんどうぞ〜」と歯科助手がチャラ男を呼んだ。
友人に「聞いてくるわ」と言って中に入って行く。
知らんぷりして携帯をいじるが、
本当はイライラしてる。



芹、毎日こんな奴ら相手にしてるのかよ。
言っとくけどここはキャバクラじゃねぇぞ。
そんで芹は僕のものだー!
と声を大にして言いたい。



ちなみに芹と僕が付き合っていることは
誰も知らない。
芹は言っても大丈夫みたいだけど
知られると僕が行きにくくなる。
こうやってバレずに定期検診でスクラブ
(医療白衣)姿を拝みに来れなくなるのは嫌だ。



なんてね。
やっぱりこれじゃ僕もさっきのチャラ男らと同じだよな。
一緒に来ていた友人が呼ばれた時、
一瞬だけ彼女の後ろ姿が見えた。
最初に来た時のことを思い出す。



マスクを着用しているからあまり顔は
見えないけど、眼力がハンパないから
目が合うたびに心臓は飛び跳ねる。
付き合って間もない頃だったから余計
ドキマギした。