僕たちの出逢いはそれぞれ互いの友人の結婚式だった。
彼女は一番前の端の友人テーブルで周りに背を向けて座っていたからすぐに気付かなかったんだ。



彼女は新婦の友人で、しかも当日に他の友人らから無理やりお願いされて歌わされたみたいで。
「無理無理」と言って断っていたけど祝いの席だからと渋々引き受けていた。



計画的にギターまで用意されていて、周りからは「え?弾き語り?」なんて声がチラホラ。
ネイビーブルーのドレスにギターが映える。



終始戸惑い気味の彼女に少し同情してしまった僕。
結婚式で無茶ブリされて断りきれない状況なんてゾッとする。
あぁ、可哀想にと顔を上げた瞬間、僕は度肝を抜かれた。



恥ずかしそうに前に出た彼女が美しすぎて、顔が小さく整いすぎて、非の打ち所が無さすぎて固まった。
そしてこの後の友人から紹介される彼女の経歴と歌声に更に度肝を抜かれることになる。