桜がヒラヒラ舞い散る春。




暖かい風が吹いている。

この感じ、好き。




でも、そんなことを言っている場合では無い....

私、春音美桜 (ハルネ ミオ)は、今すごくピンチなのだ。





学校まで、もうダッシュで走っている今、運動が苦手な私にとってはとてもキツイ。






今日は、始業式で遅刻したらめっちゃ怒られる。

初日早々に、怒られるなんて悪目立ちだ。




学校が目の前まで見えてきた。


「よしっ!みんなまだ居たっ!」



昇降口でクラス発表の紙が貼られていて、たくさんの人で集まっていた。





「美桜っ!!」



手を振りながらこっちにやって来たのは、私の親友の牧野葵(マキノ アオイ)
ちゃん。




「おはよう、葵ちゃん〜」



「もうっ!またギリギリで来てー」


「ごめんーごめんー」



葵ちゃんは、美人でしっかり者のお姉さんって感じだから、毎回怒られてしまう。





「美桜と同じクラスだったよ。また、面倒な見る事になったしまったわー」


「え?本当!?やった〜私も見て来るっ!!」



葵ちゃんの側から離れて、掲示板に向かう。




おー、結構人がいる..
身長がみんなより少し低いから全然見えないっ!



毎日牛乳飲んでるのに、なんで伸びないんだろう。



こうなったら、下から潜り込んで前に行こうっ





よいしょ、よいしょ

みんなの足が邪魔で前に進めないなー


「わっ!」



誰かの足にぶつかってしまった。





「ご、ごめんなさ......って、樹かー」



「“樹かぁー”ってなんだよっ!てか、お前何してんだよ」




「クラス表が見えないから、下から潜り込もうと思ってっ!」





「バカだな、相変わらずー
俺には、赤ちゃんのハイハイ歩きしてる風にしか見えないけどなー」






「バカじゃ、ないもーん!」




このバカな男は、一応私の幼馴染の、原田樹(ハラダ イツキ)。
私の事を何かと馬鹿にしてくる。
サッカー部に入っている。




よいしょっと、やっと前に行けた。
えーっと、何組だー



「あ、あった!三組だ。葵ちゃんの名前もあった!」



「言っとくけど、俺も同じクラスだからなっ!」


仁王立しながら、樹が言った。


「えー樹もー?まぁいっかー」



「さっきから、俺の扱い適当じゃね」




「そんな事、無いですよー(棒)」



「お二人さーん、教室行こー」




人混みの奥で葵ちゃんが叫んでいる。




「うん!」


人混みの中をサッサと抜けた。



「お、俺を置いて行くなーーー!!」