不良かと思ったが
そいつは、フンと言うとドカッと自分の
席に座った。
あ、後ろの席だ。
それに、もしかして俺を庇ってくれた?
昔の俺なら、すぐにキレていたし
コイツにも同情だと思い腹を立てたかも知れない。
しかし、ある言葉が浮かんだ。
差し伸べられた手……それは、
助けてくれた奴の事も言うのではないのか?
「あのさ……サンキュー」
だとしたら、お礼を言わないといけない。
助けてくれたのなら
「……別に。あぁ言うコソコソする奴は、
嫌いなだけだ」
「そうか……俺もなんだ。
俺……櫻井翼って言うんだ!」
俺は、ニカッと笑い自己紹介をした。
「……俺は、五十嵐だ」
ぶっきらぼうながらも返事してくれた。



