封筒の中身を開けると
それは、車椅子バスケの案内パンフレットだった。

「車椅子バスケ……?」

「これなら、脚が悪くても出来る。
一度見学に行くといい。お前の人生に
影響を与えるものになるかも知れないぞ」

日向兄ちゃんがクスッと笑いながら
そう言ってきた。

「うん。」

車椅子バスケか……そうか。
俺、まだバスケを諦めなくてもいいんだ!

そう思うと嬉しくて仕方がなかった。
新たな希望を見つけた瞬間だった。

それから手術をして無事に成功すると
俺は、リハビリ生活をスタートさせた。

しかし、簡単なものではなかった。

脚を上げる訓練から立ち上がる訓練
そして歩く訓練。
失敗しては、転んでまた立ち上がる。

毎日その繰り返しだった。

一向に上手くなれない。
その苛立ちや不安……地味で厳しい現実に
気の遠くなる訓練に心が折れそうになる。