パラリンピックのチケットだった。

「……行かねぇーよ!」

俺は、そっぽを向いた。
ただ認めたくなかった。

認めたら俺が障がい者だと認めたことに
なりそうだったから。

「まだ時間はある。
ゆっくり考えて決めるといい。
俺は、君が応援に来てくれることを待っている」

おっさんは、それだけ言うと病室から出て行った。

何だよ……それ。

簡単に言いやがって。

俺は、複雑な気持ちを抱いたまま
布団を握り締めていた。

次の日。
千花は、母さんから事情を聞いていた。

「翼。凄いじゃない。
パラリンピックのチケットだよ!?
絶対に行くべきだよ!」