「翼君。俺は、今度の東京パラリンピックに
陸上選手として出場が決まった」

えっ……!?

俺は、驚いて肩をビクッとさせるが
背中を向けたままだった。

「ふーん。で?
そんな義足で走って恥を晒しに行くんだ?」

でも、だからと言って俺には、
何の関係もない。

「翼……謝りなさい!!」

それに対しては、母さんも叱ってきた。

だけどおっさんは、冷静に

「まぁ……何も知らない人は、そう言うだろうな。
だがな。それは、違うぞ。
俺達……選手は、恥を晒しに行くのではない。
自分の誇りと力を信じて
日本の代表として走るんだ」

自分の想いを伝えてきた。

はぁっ!?

俺は、驚いておっさんの方を向いた。