もう俺の事をどうでも
良くなったのかもしれない。

好きな子にもう追いかけてくれない
寂しさを今頃になって知った。

絶望的だ……。

「だがな。ある選手によって
俺の人生は、変わった。
その人は、同じ状況なのに陸上で
パラリンピックの銀メダルまで登り詰めた凄い方だ!
その人に刺激を受けて俺も諦めていた陸上を
もう一度やり始めた」

「そしてパラリンピックでメダルを
取ることが出来た」

えっ……!?

そのおっさんの言うことに
二度も衝撃を受けた。

義足なのに……陸上!?

しかもパラリンピックって……。
マジかよ……?

「俺は、同じ立場なのに負けずに
走り続ける姿を見ていたら自分は、
スタート地点にすら立っていないことに
改めて思い知らされた。
努力して出来ないのならきっぱり諦めがつく」

「だが、努力すらしてもいないのに
最初から諦めたりグチグチと言う奴は、
俺は嫌いだ。
自分のプライドが許さない。そう思えたら
前に進むことが出来た。
まだスタート地点すら立っていない奴が
諦めるのは、早いぞ」

真っ直ぐと前を向いて言ってきた。