「くそっ……」
試合は、途中で止めてスタッフが
俺ごと車椅子を起こしてくれた。
車椅子バスケでは、転倒はしょっちゅうある。
自分で起きれない場合は、
試合を一度中断しないとならない。
そのため、勢いを削がれる場合もあった。
「櫻井、大丈夫か?」
「大丈夫です。すぐに行けます」
「ドンマイ。すぐにもとの体勢に戻れ!!
皆、油断だけはするなよ!?気合いを入れろ」
工藤キャプテンが、大きな声でメンバーに
指示を出した。
しかし吉田選手は、またもや
ボールを取りに行こうとした俺に
車椅子ごと突っ込んでくる。
またしても転倒。
どう考えてもおかしい。
平気な顔をするが右手を庇う。
赤く腫れ上がっていた。



