「翼……かえ……」
千花が慌てたように帰ろうと言いかけたが
俺がその前に
「さて、帰るか。早く帰らないと
リハビリに間に合わなくなっちゃうからな」
ニカッと誤魔化すように笑った。
高橋達と一緒にバスケが出来ない現実。
それを実感した。
仕方がない……俺は、あんな風に走れない。
それは、理解している。
受け入れないと……。
そう思いながら校門を出ると
車のクラクションが鳴った。
驚いて振り向くと早川兄ちゃんの車だった。
俺達のところまで来ると
窓が開いた。
「オッス。授業早めに終わったんだろ?
乗ってけ。ついでに送ってやるから」
そう言ってくれた。
よく見ると後ろに美堂も居た。
本を読んでいて
こちらを振り向こうともしていないが。



