私の世界に色をつけて




「号令」



「起立、礼、さよなら!」



「さよなら!」



ぞろぞろとみんなが教室を出る音が聞こえる



あぁ…また体力のいる帰り道か…



あれ棒つんつんしてるだけとか思ってる人!


まじあれ体力使うから!



ほんと恵の言う通り明日から車椅子で来ようかな…



なんて思いながら自分の席を立った時




「ねぇ」




ん?誰かまだいるの…?




あ、他に誰かいて喋ってるのかな




私は気にせず歩こうとした




「耳は聞こえるでしょ、前園さん」



え、今前園って言った?



確かこのクラスに前園って私だけ…



え、私を、呼んだの?



え、誰が
















私は恐る恐る振り向いた





「うん、耳は聞こえてるね」



なんかひとりで納得してる…?



って、この声



「佐野くんじゃん」




この意外と高い声、だけどどこか落ち着きのある声




これは絶対佐野くん!




「うん、佐野だよ」



佐野だよって笑笑



「なんかあった?」



なんかあったから私を呼び止めたんだよね?




「さっき、大丈夫だった?」



あ、体育の時の



「うん!大丈夫だったよ!ありがとね!」



「別に…」



うん、やっぱりそう来るよね



もう、いいかな?


用事これだけだよね…?



「じゃあ佐野くん、また明日」



私はまた前向いて歩こうとした




「ちょ、まって、送る。」



「え?」



送るって……え?




「私一人でも帰れるよ?」



「いや、送る」



む…引いてくれないぞ…?



「大丈夫だって、心配しなくても大丈夫」



それでも佐野くんは



「俺が送りたい。これじゃダメ?」



いや、ダメ?って言われても…


佐野くん意外と頑固だから…これ以上言っても引いてくれなさそうだな…



今日だけだよね…?



よし



「じゃあ、お願いします」


「ん」




そして佐野くんの足音が通り過ぎたのを確認して、1歩踏み出そうとした時



「まって、違う、手」



へ…?てか私いつになったら歩けるの!



「手…?」



何のことかわからなかったからとりあえず手を出した



その瞬間



「っ…!」


手を握られた