私は棒から伝わる凸凹を頼りに道を歩く



最初は戸惑った



どこをどう辿ればいいのか分からなかった



でも今じゃ慣れたもんで、スムーズに歩けてる




私は目を開けない。




目を開けたら、どこを向いてるかわからないでしょ?




そんなヘンテコな顔、見せたくないもの




だからといってサングラスはしない。




ただ単に目を瞑っているだけ。






そのまま棒をつんつんしながら歩いていると




「色華〜!!!」




後から私の大好きな声が聞こえてきた




私は振り返ってその子の方を向く




「おはよ、恵」



「お!今日も私の方ちゃんと向いてくれたね!」



「当たり前、足音でわかるよ」




そう、目が見えなくなった代わりに、耳がよく聞こえるようになった




「んじゃ!学校行きますか!」




「うん」






私はまた棒をつんつんしながら歩き出した