「もう手の施しようがない段階まで行ってるって…どういうことですか…」




まさか…失明とか言わないよね…?



「………」



ねぇ、なんで黙ってるの…?




「……失明…するのを待つだけの状態です…」





「い、いや……そ、んな…」



失明…?失明って…私の右目は何も見えなくなってしまうの…?



今まで普通に見えてた景色が…見えなくなってしまうの…?





「せ、先生!なんとかならないんですか?!確か白内障って、レンズを取り替えれば治るんじゃ…!」




「もう、白いモヤが大きくなりすぎて、今からレンズを変える手術をすれば、それこそ失明してしまいます。」




「そんな…」



お母さんが膝から崩れ落ちた…




「あともうふたつ、残念な報告があります」




え…?まだ地獄を味わえって言うの…?




「1つ目は、色華ちゃん、左目も、失明、する…」



は…




「せ、先生…うそでしょ?」



黙る先生



「ねぇ…!嘘って言って!お願いだから!治せますって言ってよ!ねぇ!先生!!!」




「色華ちゃん!!」



私の叫び声は先生によって抑えられた




「先生だって、できることなら治したい!失明を阻止したい!けど…今の技術じゃ…到底無理なのよ…それに…色華ちゃん、あなたは1型の糖尿病になってるわ…」




まってまって。



糖尿病って治ったんじゃないの…?



しかも1型ってなに…?




「色華ちゃんが目に違和感を感じ始めた頃から、色華ちゃんの体の中ではインスリンが分泌されていない」



ねぇ、まってよ先生


頭が追いつかない…




私が目に違和感を感じ始めた頃にはもう、インスリンは分泌されていなかったの…?




「多分、その目の白いモヤも、全部糖尿病から。後遺症っていうやつよ」



こ、ういしょう…?




「1型の糖尿病は、その後遺症がひどいの、例えば、色華ちゃんみたいに、目が見えなくなる。他にも、難病になることもある。」




なによ、それ…



「1型の糖尿病は、他の病気を呼び寄せる病気なの」




そんなの…不公平だよ…



「じゃ、じゃあ…私は…両目とも…見えなくなるってこと…?死ぬまでずっと、注射と薬がやめられないってこと…?ほかの病気にもなるってこと…?!」




先生は静かに頷いた



「そんな……なんでよ…なんで…」



この日から私の世界は色をなくした。