君の隣で~anotherstory~

「…は?」

私は有希くんの言っている意味がわからなかった。

何よ、手を組むって。

「まぁまぁそんな怪しいのじゃないって。君にも、僕にもメリットがあるんだよ」

「…私にも、メリットがあるの?」

「そうだよ。いいメリットがね」

すると、有希くんは私の隣に立った。

そして、私にそっとささやいた。

「君、陽斗が好きなんでしょ?」

そう言われた瞬間、私は驚きすぎて、足から力が抜けた。

派手に尻餅をつく。

「いったぁーーー…」

「え、大丈夫?驚きすぎた?」

有希くんが一瞬心配そうなセリフをかけてくれたけど、顔が少し笑っている。

私は有希くんをキッと睨みつけて、立ち上がった。

まだお尻がヒリヒリ痛む。

「…なんで知ってるの」

「君の行動ですぐわかったよ」

有希くんはハハッと笑った。

…そんなわかりやすいかな、私。

「…それで?それが何?」

「君が陽斗のことを好きなら、結ばれたいと思うのは当たり前だよね?」

「…まぁ、ね」

「だから、それを叶えてあげるよ」

「…え?」

ホントに、有希くんが言いたいことが全くわからない。

なんで、有希くんが私と陽斗くんを応援するの?

叶えるって、何…?

「どういうこと?」

「そのままの意味だよ。君と陽斗を結んであげる。でもその代わり、君は僕の恋を応援してほしい」

「…まさか、あんたの好きな人って……?」

嫌な予感がした。

心臓がバクバク音をたてる。

「ふっ、そのまさかだよ。
僕の好きな人は、君の親友の桐谷桃音
だよ」