君の隣で~anotherstory~

授業が終わり、部活時間になった。

私と桃音は手芸部なので、いつも二人で教室に行く。

いつも桃音は手芸なんて全然しなくて喋っているだけなのに、

今日は違った。

部活が始まると、すぐ布を出して、手芸を始めた。

まるで、終わってない宿題を急いで終わらせてるみたいに。

最初は誰に何をつくっているのか全然わからなかったけど、桃音の顔つきを見て、すぐにわかった。

これは、陽斗くんに作っているんだ。

それがわかると、胸がキュゥとなった。

試しに桃音に話しかけてみたけれど、全く相手にしてくれなかった。

私だって陽斗くんが好きなのに。

そう思っても何も変わらないけど、そう思わずにはいられなかった。

針を持つ手がブルブルと震える。

私は、桃音が陽斗くんのために必死なのを見ていられなくて、トイレに行くと言って、急いで教室を出た。