私がその人を見たのは、ついさっきだった。

私が桃音との待ち合わせ場所まで走っていると、

同じ制服を着た男の子がいた。

私は、知り合いかどうかを確かめたくて、

走るスピードをあげて、男の子の顔を見た。

その瞬間だった。

私が、彼を好きになったのは。

サラサラの黒髪に透き通るような白い肌。

何もかもがキラキラしていて、王子様みたいだった。

制服の上に付けている名札をチラリと見た。

『川上陽斗』

それが君の名前だった。

私が今まで見た中で一番カッコイイ彼を前に、

私は呆然としてしまった。

彼のあとをスタスタ追っていると、

いつの間にか中学校の前の桜並木に来ていた。

私は彼を通り越して桃音のところに向かう。

この桜並木が、桃音との待ち合わせ場所。

そして、桃音に好きな人ができたことを言ったのだ。