「お、俺がつけるの?このティアラ。」


「嫌ならいいよ、早く。ティアラ。」





戸惑いながらも私にティアラを付ける狼。



そして、私の耳元に顔を寄せ、






「すごく可愛い。」












え、え、なにこれなにこれ、可愛いって、今可愛いって、昂輝が…?



そう思ってしまうほど、言い方や、声が、昂輝にそっくりだった。





その昂輝にそっくりの『可愛い』は、私にとっては世界で、宇宙で1番のご褒美だ。






もちろん私は耳を押さえて顔を真っ赤にさせている。







「あーらら、千夏さん、顔真っ赤じゃん。」



「お願いだから俺らの前でイチャイチャしないで…。」



「…? もしかして、昂輝のこと話してないの?狼の大事な人なんでしょ?」




「そうだけどな、俺は自分から話そうとは思えないし。メリットがない。」





そうですかと返し、東山くんと下野くんをちらっと見る。





「じゃあ私が話してもいい?」



「まあいいけど。」



この話は私や狼と関わる上で知っておくべきで、知っていなければ私たちのタブーに触れてしまうかもしれない。


タブーに触れられた時、普通に接することができるほど、私たちは大人じゃない。まだ未発達な私たちには大きすぎる事だ。





昂輝の話は私目線になってしまうから、私と同じように感じるだろう。




つまり、悲しい、辛い、苦しい。とか。





だから、東山くんと下野くんは涙目になっていたんだと思う。




多分、こうやって私の気持ちを言葉にしたことは狼の前では初めてだと思う。





話しながらも私は少し涙目になっていたかもしれない。



時間が許すまで話して、終わった。