そう伝えたのに。
もっと、上手く言えたのに。
嘘ばっかりつくから。
うん、なんて言うから。
伊澄くん、傷つけちゃった。
次のシフト、別々でよかった。
今顔見れない。
合わせる顔ない……。
結局何一つ頭に入ってくることなく。
2回目のシフトの時間がやってきた。
私は受付係になって。
教室前の椅子に腰を下ろした。
もうひとりの受付係は苑田くんで。
伊澄くんの友達と一緒にするのは少し居心地が悪かった。
「あのさ。」
しばらく無言で受付をしていると。
急に苑田くんが口を開いた。
「気になってたんだけどさ。」
一呼吸ずつ置いて話す苑田くんに。
心臓がドクドク嫌な音を出す。
「小笠原さんってさ。」
怖くなって目をぎゅっと瞑る。
結った髪を握って次の言葉を待つ。
「彗のこと、好きなの?」



