不意に、過去の恋愛のことや、いろんなことを脳内で考えてしまった。 そして、お姫様だっこから、おろしてくれと伝えるのに数秒かかってしまった。 我ながら不覚にも、すごくドキドキしてしまった自分がいた。 「わかったよ、その代わりに私を毎日ランチな。」 「もちろん、私がごちそうするよ。」 「わかりました。これから毎日、私はランチが楽しみになります。」 軽く嫌味を言ってやったつもりだったが、有栖川副社長は、そんなことは意に介さず ずんずんと歩きはじめた。