あと十歩、、あと五歩…。
遠くから見てただけのそいつへと。


あと、、一歩。


その時、顔がこちらへ向き、そいつの大きな瞳が俺を捉える。


ッ……。
蛇に睨まれた蛙はこんな気持ちなのだろうか。
一瞬にしてすべての動作が固まる。

そいつは何もかも吸い込みそうな瞳で俺を見つめ続ける。

心臓の音だけがバクバクと自分の耳に聞こえてきて、誰かに聞かれてるんじゃないかと焦るくらい大きな音で鳴り続ける。