長いフワフワの髪が花の匂いを帯びた春の風でなびき、俺の手の平より全然小さい顔に細い腕で頬杖をつき、その顔に似合わないぐらい大きな瞳で窓の外を眺める。

けどその瞳はどこも捉えてないような、ただそこにあるのをジッと見つめるだけのようだった。


何故か、そいつが気になった。


何を考えてるのだろう。何故、外を見つめているのか。会ったばっかりのやつに、しかも名前も知らないやつに何故こんなに興味が湧くのか。

自分の気持ちも気になり、考えるより先にそいつへと足が動く。


ドクンドクン


そいつに近づくにつれて心臓の音が大きくなる。