ぼーっと時間が経つのを待ち続けると、やっと退屈としか言いようがない入学式が終わり、皆、それぞれの教室へと戻っていく。

教室へ入ると、新しい出会いを広げていこうと、隣にいた人から輪が広がっていくようにクラス中で話が繰り広げられていた。


「どこ中〜?」「桐沢だよ!」「あははは〜」


楽しそうな笑い声があちこち飛び交う。
そんな中、一番後ろの窓際の席に座る一人の女に目がいった。

春の出会いの場に似つかわしくない表情で外の景色を眺める。


そいつを見た瞬間、一言では言い表せない感情が俺の胸を貫いた。