暖かい風が吹く4月。
パリパリのシャツにまだ慣れないネクタイを締め、新たな春を迎える。

大勢の同じ制服を着たやつらを前にし、マイクに顔を向け、口を開く。


「風に舞う花吹雪が目に眩しい今日。私たち500人の新入生は白澤学園の入学式を迎えることができました。本日は……」


新入生代表挨拶という面倒な仕事を引き受け、ただただ目の前にある例文を読む。


「……平成〇〇年4月7日 新入生代表 成瀬 恭弥」


ふぅ、やっと終わった。

一礼して壇上を降り、自分の席へと戻る。そして、校長の挨拶やらと式が進んでいく。