そんな中高2の夏休みが始まった。
私はその旅館でバイトをして、



少しでもお金を手に入れたかった。




お金を払えずにいたからその旅館から追い出されるような形で私達は出ていった。




それから行く場所もなく急に気分転換に県外の海に行こうとお父さんは言い出した。




九十九里浜だ。




海行って帰ってきたら、
家賃払えずに追い出された最後の貸家の人に住んでもいいと言われたみたいで




わたしたちは、そこにいる事にしたんだ。



でも、裏口からコッソリと入るように言われてこれは、さすがにヤバイなって思ったんだ。




でもお父さんに何言っても駄目で…

大丈夫の一点張り



そしたらある日、お父さんたちはいまさっき出掛けて行ったはずなのに誰かが来たの。



誰かと思ったらここの貸家の人だった。



私たちの目を見て驚いた顔をしていた。



あぁ、やっぱり。
なんにも許可なくここに私達は居たんだな。そうその時すべてを理解した。




"不法侵入"






それから刑事さんが来て、事情を話してるときに、お父さんとお母さんが帰ってきた。




それから私は、未成年だったから警察の人に言われて一時的に預かってもらえる"児童相談所"という施設に行くことにした…』




私はここまで喋って黙ってしまった。





色々思い出してたら辛くて泣きそうだ。
喋ろうと思って深呼吸しようと思ったら
廉が手を強く握ってくれた。





"ゆっくりでいい。大丈夫"


そう目で言ってるみたいだった。




私が喋ってるとき、決して廉は、喋ろうとしなかった。頷いてくれたり、静かに聞いてくれた。




多分今ここで優しく声をかけたら私が泣いて喋れなくなってしまうんじゃないかと、

分かっているのだろう。