いつもお昼は、美菜と私は体育館のドアの付近で食べてる。


『くーれーあーーー。』



『えっと、美菜……。何かなぁ…?』



この顔は質問攻めされる目だ。
美菜は、面食いだからな



でもちゃんとお昼のこの時間。誰もいない体育館でご飯食べてるから、




美菜なりに気を遣ってこの時間まで言うのを耐えていたのだろう。



『最近、バイクで送迎してもらってる人は、だれかなぁあ??』



『あー、まぁ美菜には話してもいっか。
廉はね、霧生ってゆー暴走族の総長だったの。』



『ぇぇぇえええええええ!?!?!?』



『ちょ、声でかいよっ!』


うぅ、鼓膜破れるよ…。



『え、ちょ、あの、霧生って霧生⁉霧に生きるって書いて霧生⁉』



『え?あ、そう。なんで知ってんの?』




『いやいやいやいや!!有名だから!!!』



『でも、だって廉は北部の方に住んでんだよ??』



『いや、もうこの県内でその名前知らない人居ないから!!!』



『え、そうなんだ??全然知らなかったよ。』



『え、じゃああのバイクの人は霧生の現総長さん??』



『うん。そうだよ。なんか、霧生で揉め事があって廉の彼女だから私が狙われるかもって話になって送迎してもらってるの。』




『あぁ、なるほどねぇ〜。怖いね。気をつけてね??』



『怖くなんかないよ。廉がいるから。』





『ふふっ。惚気けちゃって〜(笑)
でも何かあったときは言いなね?』




『うん。ありがとう。』





美菜…。
そんなこと思ってくれてたんだ。




正直、美菜にとって私は都合のいい存在だと思ってた。



だって、いつも課題手伝わされるし文化祭でやらなきゃいけないことも手伝わされるし。




体育のときも二人でペアの時とかすぐ組めるようにとか考えて私と行動してんのかなーって思ってたから。




もしかしたら、美菜に対して境界線を引いてたのは自分だったのかもしれない。