不敵に妖艶に笑った弘翔に小さく頷いた。




というか…





「弘翔さ、この間からなんか変わったよね」





合コンの後から弘翔は何となく変わった。





今までは大人の余裕で隠していた意外と焼きもち妬きなところとか、子供っぽいところも出してくれるようになった。






「変わったか?」





「うん。なんか完璧じゃなくなったというか…子供っぽくなったというか…」






紳士なところとか当たり前のようにレディーファーストしてくれるところは変わらない。




だけどあの日以来、合コン参加は禁止になったし、はっきりと男と飲むのも男とご飯に行くのもやめてくれって言われた。





あ、それと、意外とスキンシップが多いし、かなりの心配性…いや、過保護になった。







「あー…そりゃあれだ。カッコつけんのやめたんだよ」





「え?」






「余裕かまして格好つけてもいい事ないからな。嫉妬もすれば妬くときは妬く。これからずっと一緒にいる大事な人の前でカッコつけても仕方ないだろ」






なんでこの人はこういうセリフをサラッと言うのだろう…。





何気なく聞いたのに、ダメージがデカい…





絶対、顔赤くなっちゃってるよコレ…






「他の部屋見に行ってきまーす…」





このままこの人と話していると心臓がもたない…。




極道の男、怖い。







──弘翔から逃げるように他の部屋も見て回る。





ガラス張りでありえないくらい浴槽が大きいお風呂に、これまた広すぎるトイレ、使われていない10畳以上あるだろう洋室に、その辺のワンルームより大きい客室、パソコンとかが置いてある弘翔が仕事をする部屋…うん、この家広すぎます。





私は使われてなかった洋室を私室にしていいらしい……部屋に付いているウォークインクローゼットがあほみたいに広かった。




寝室にはクイーンサイズのベッドが二つ置いてあった。








そして…




「弘翔、ここは?」





一通り見て回って、一番奥まった所にある部屋だけ残ったけど、何故か鍵がかかっている。





弘翔に聞くとリビングから鍵を取ってきてくれた。








「───え…すごい…」





開けてもらった部屋に広がる光景に思わず言葉が漏れた。





壁一面が本棚で埋め尽くされていて様々な本が置かれている。




しかも日本語で書かれている本はほとんどなくて、英語とか仏語とか独語のものばかり…





入りきらなかったであろう本は床に山積みになっている。






本もすごいけど…一番に目がいったのは…





「ピアノ…?」





部屋の中央に置かれた立派なグランドピアノ。