飲み終わったらしい男の人は公園の自販機の横にあるゴミ箱に空き缶を捨てて戻ってきた。






「こんな時間に出歩いてると色々と危ないと思うんだが?」




いきなり落とされた言葉に驚いて顔を上げると、男の人と目が合った。




ふっと微笑まれて、その男前すぎ笑顔と真っ直ぐな瞳に捕えられた。





「…それは、お互い様じゃないですか?」




「あー、そりゃそうだな」




困ったように顎をしゃくった男の人は‘でも…’と付け加えて、




「俺は男だからな。俺なんか相手にしても得する奴なんていないだろう。
でも、君は違う。もう少し自分のことは大切にしたほうがいい。何なら、送っていくよ?」




穏やかに言って、穏やかに笑った。



その笑顔があまりにも穏やかで…久しぶりに安心してしまって…



不覚にも…止まったはずの涙が溢れ出してきた。





「…ッッ…ぅ……」




止めようと思っても止まらなくて…嗚咽が漏れるくらい泣いてしまえば…



男の人は本気で焦りだした。





「いや、違くて、別に何か下心があるとかじゃなくて。
単純に、こんな夜中に可愛い女性が一人で居るのは危ねえなって…。あーほんと、ごめん」





「ッッ」




私が泣いている理由を盛大に勘違いしている男性。




ちゃんと説明したくて口を開こうとしたけれど、溢れる涙が邪魔をしてうまく話せない。