二人にそう言われて素直にお礼が言えた。



遠慮している方が申し訳ない気がするから。




しかも…楓さんはちゃっかり下駄と巾着まで用意してくれていた。有難すぎる…。





「じゃあそろそろ行こうか美紅ちゃん」




帰りは遥輝さんが弘翔との待ち合わせ場所まで送ってくれることになっている。





「次は海かな。楽しもうね美紅ちゃん!」





「はい!今日は本当にありがとうございました。聖弥さんにもよろしくお伝えください!」





「はーい。じゃあ弘とのデート楽しんできてね」





楓さんにお礼を言って春名家をあとにした。




ちなみに…帰りも黒スーツの人たちが門前まで列を成して頭を下げていたけど、楓さんの『相変わらず固いわね!散った散った』の一声で恐怖の時間は終わった。




遥輝さんは平気そうだったけど、怖くないのかな。






──「はい、乗って乗って」





「え…おっきい…」





門前まで遥輝さんが持ってきてくれた車を見て思わず口が開いた。



だって…なんか…でかい。




車高も高いし、タイヤも大きいし…戦車みたい(?)。



アメ車っていうのかな。





「サーフィンやるから板積むのにデカい車にしてるんだよ」





「サーフィン…」





「そ、聞いてない?弘もやるよ。今年の夏見れるかな」





知らなかった弘翔の特技を教えてもらって心が弾んだ。



だって…サーフィンやってる弘翔とか100%カッコいい。



遥輝さんもカッコいいんだろうけど…。




少しニヤけた私に気付いたらしい遥輝さんに笑われながらも車高の高すぎる車に乗り込んだ。





「駅前でいいんだっけ?」





「はい、お願いします」





「はいよ」





「遥輝さんたちは今日のお祭り行かないんですか?」





「毎年行ってるよ。凌雅と大雅が行きたがらないわけないと思うでしょ?」





「たしかに…」





私を送ってからいったん家に帰って、それから遥輝さんたちは行くらしい。