チラリと葵ちゃんに視線を送れば、
「そうだ!話の途中だった!」
と、抱きしめていたクッションを放り出して私の手を握った。
「美紅さんも協力して!!」
「へ?」
協力って言われても…。葵ちゃんの想い人のこと知らないし…
私が考えていることが分かったらしい弘翔には『美紅も知ってる奴だぞ』と耳打ちされた。
私の知ってる人!?え、誰…??
「私、どうしても高巳さんと付き合いたいの!だから美紅さんも協力して!」
「えっ!?高巳!?」
「うん!」
高巳…タカミ…たかみ…
え、あの山門高巳で合ってるよね…?
確かに私も知っている人だけど。
「高1の時からずっと高巳さんのことが好きなの。今までに4回告白してるのに全部フラれてるんだよね」
「……そうなんだ」
弘翔を見ると、バツが悪そうな顔をされた。
確かに、高巳に他に好きな人や彼女がいるなら…
「高巳君に彼女はいませんよ」
今まで我関せずで傍観していた蓮さんが口を開いた。
なんでこの人は私の考えていることが全部わかるんだろうか。エスパー?
「じゃあ、他に好きな人がいる…とかですか?」
「さぁ。それはどうでしょうか」
含み笑いで返される。
これ以上は教えてくれる気はないみたいだ。
「高巳さんに彼女ができちゃう前に私が彼女になる!」
4回断られているのに葵ちゃんはポジティブ思考だ。
「で、さっき弘兄に今度のお祭りの日は高巳さんの仕事を無しにしてくれって頼んでたの」
「あー、そういうことだったんだ」
「勘違いさせちゃってごめんね!お祭りでもう一回、高巳さんに告白しようと思ってて…」
少し伏し目がちに言う葵ちゃんは女の私から見てもとっても可愛い。
蓮さんのさっきの言い方と、弘翔の困ったような表情から察するに、何か事情があるのかな。
そう思って口を開こうとしたその時──
インターホンが来客を告げた。
モニターで相手を確認すると、今まさに話題の中心にいた高巳と…聖弥さんだった。
