「答え合わせ…?」
口の中だけで小さく呟いて蓮さんを見る。
「そうですね…何から参りましょうか」
少しだけ楽しそうに言った蓮さんは弘翔に視線を移したけど、弘翔は何も言わずに頷いただけだ。
話の一切を蓮さんに任せるのだろう。
葵ちゃんは完全に我関せずでスマホを弄っている。
「では、美紅さんが前々から覚えていた違和感の正体からいきましょうか」
「え……」
「昌之さんと弘翔以外の全ての秋庭の人間が私に敬語を使うこと、私と弘翔が兄弟を名乗っていること、薄々おかしいと思っていたでしょう?」
「……はい」
前に土方さんと話した時に覚えた違和感が違和感じゃなかった。
蓮さんと弘翔の間には普通ではない何かがある。
「私と弘翔は血なんか繋がってませんよ。まして私は…秋庭家には全く関係のない人間ですから」
「おい、兄貴」
蓮さんの言葉に弘翔が低い言葉を落とす。
こんなに怒気を含んだ声はほとんど聞いたことがない。
「失礼、失言でした。言い方を変えましょう。
私は秋庭家の人間とは一切の血縁関係がありません」
「じゃあ、弘翔とは…」
「義兄弟という関係ですね」
義兄弟…。
弘翔からすれば聖弥さんや遥輝さんが義兄なのではないだろうか…。
でも多分、そういう次元の話ではない気がする。
本当の兄弟であっても、こんなにお互いを大事にしている兄弟は珍しい。
弘翔と蓮さんには普通の兄弟以上の見えない何かがあるような気がする。
「極道の世界では、兄弟の盃を交わすと血よりも濃く強い関係で結ばれる…っていう習わしがあるんだ」
いつになく真剣な眼差しの弘翔。
「こんな世界だから、何かあった時に身元を保証してくれる奴や無条件で背中を預けられる人間が必要なんだ。盃を交わす理由は色々あるんだけどな。俺たちも…まぁ、色々あってな…。俺が15の時に兄貴と盃を交わした」
全てのことに合点がいった。
そういうことだったんだ…
