大切なものを選ぶこと




「お祭り?」




目的のお店でかき氷を注文し、待っている間に『祭り、行かないか?』と言われて思わず聞き返してしまった。




ちなみに、弘翔は宇治金時を、私はイチゴミルクのかき氷を注文した。




メニュー表を見ながら真剣に悩む弘翔は最高に可愛かった。ギャップ萌え。






「秋庭本家の近くの神社で毎年やってる夏祭りがあるんだよ。規模は小さいが花火も上がるし、うちの若い衆が結構な数の的屋を出すんだ」





「なるほど…」





「俺も毎年顔だけは出してるんだけどな、男が一人で祭りって虚しいだろ?」





「確かに…」






一人でお祭りをまわる弘翔を想像して吹き出してしまった。




確かにそれはシュールすぎる…






「美紅が人混みとか苦手なら別にいいんだが…。俺はどうしても屋台の焼きそばが食べたいんだ」





弘翔が何故かドヤ顔で言い放ったので、またしても吹き出してしまった。




面白くて少しツボに入ってしまった…






「まぁ、というのは全部建前でな、美紅の浴衣姿が見たい。祭り、一緒に行かないか?」





「うん!行く!楽しみ~」





「好きなだけ焼きそば買ってやるよ」





「いや祭りって言ったらイカ焼きでしょ!」





「何言ってんだ、焼きそば一択だろ」





「あ、たこ焼きも食べたい!」





「おー、たこ焼きもいいな」





「金魚すくいで勝負ね!!」





「俺けっこう得意だぞ?」






お祭りの話で盛り上がっていれば、注文したかき氷が届いた。




やっぱりこういうお店のかき氷って少し高いけど、とっても美味しい。




弘翔と一口ずつ交換しながら食べれば、あっという間に食べ終わってしまう。






「ねぇ弘翔。私、浴衣持ってないよ?」





食べ終わってからふと思い出して言えば、『大丈夫だ』と少しだけ口角を上げた楽しそうな顔で言われた。




要領を得ない回答に私の頭の中は?マークでいっぱいだ。






「用意してもらうよう言ってあるから、当日まで気にしなくて大丈夫だぞ」




よくわからなかったけど、とりあえず頷いておいた。