軽口を叩き合う弘翔と桜さんを連れ立って、さっきの厳かな広間とは違った和室に入った。
中には椿さんだけがいて、昌さんは仕事の話で席を外しているらしい。
──「えっと、この人が私の旦那さんのハル君です!」
「おーい桜ー、最初の挨拶でそりゃないだろ。俺のイメージが…ただでさえ職業柄、チャラいとか緩いとか思われることが多いんだから、最初くらいはしっかりしようよ」
困ったように笑ってから、
「桜の旦那で弘の義兄、千賀遥輝(せんがはるき)です。よろしくね、美紅ちゃん」
と、綺麗なウインク付きで挨拶された。
千賀遥輝さん……どこかで聞いたことあるような…
弘翔より少しだけ低いくらいの長身に、緩くパーマが当てられた茶色の髪、スキニーパンツにTシャツ、襟元にはサングラスがかけられている。
シンプルなファッションなのに、ファッションモデルさんと遜色ないくらい似合っている…ていうか、イケメンだ…。
結婚指輪は指には嵌っておらず、よく見たらリングネックレスになっている。
んー…やっぱりどこかで‘千賀遥輝’って聞いたことあるような…
「おーいチビたち!二人も美紅ちゃんに挨拶!!」
遥輝さんが弘翔と遊んでいた二人に声を掛けると、
「せんがたいが!5さいです!」
「せんがりょうが!5さいです!」
と元気に挨拶してくれた。
やっぱり双子だった大雅くんと凌雅くんは、桜さんと遥輝さんの良いところ全部受け継いだの!?っていうくらい、整った顔立ちをしている。
将来はイケメン確定だ…
「で、あっちで椿さんが抱いてくれてるのが娘の蘭(らん)で、もう少しで11カ月になるかな」
遥輝さんに言われ、蘭ちゃんを見たけど、やっぱり可愛い…
遺伝子って怖い…。
「俺たち一家は組関係には一切ノータッチだから、家族の行事ではよろしくね。秋庭家は家族行事がめっちゃ多いからさ」
それで、俺の職業なんだけど…
あ、思い出した!!!!
