「改めてちゃんと紹介するから!弘の父親の秋庭昌之です!!そうだなー…うーん…昌さんとでも呼んでもらおうかなぁ…。いや、待てよ…お父さんもいいなぁ…。いや…やっぱり昌さんで!」
「昌…」「親父…」「お父さん…」
「あ、あぁ…すまん、浮かれてた…。で、こっちが俺の奥さんで弘の母親、椿(つばき)ね」
「よろしくね美紅ちゃん。下の名前で呼んでくれて構わないわ」
楽しそうに家族を紹介する昌さんはやっぱりダンディーの言葉が似合う男前だ。
それに、呆れた顔で昌さんを見つめている椿さんは大和撫子のイメージそのままの超絶美人さんだ。
それに…
「こっちが次女の桜ね」
「よろしく美紅ちゃん!桜って呼んでね~!そろそろ私の旦那さんと子供たちが来るから、また紹介するね!」
今時って感じのカジュアルなスタイルで笑っている桜さんも文句なしに可愛い。
秋庭一族の血って恐ろしいんだね…。
「弘が彼女さん連れてくるって言ったら楓たちもくるって言ってたわよ。そろそろ来ると思うから挨拶しなさいね」
「あぁ」
───それから、昌さんと椿さんと弘翔と四人で色々な話をした。
桜さんは旦那さんたちを迎えに行くとかで席を外してしまったけど、とても話しやすい良い人だった。
それに、組員さんたちも改めて紹介してもらった。
さっきの厳つい感じは椿さんに命じられた演技だったらしく、皆さんホントに気さくで面白い人たちだった。
弘翔は基本的に年上の組員さんたちには‘弘’と呼ばれてタメ口で話されているし、年下の組員さんたちにも‘弘さん’と呼ばれて親しまれている様子だった。
想像していたヤクザの世界と全然違う。
アットホームというか…温かいというか…
秋庭組じゃなくて、組全体で秋庭家って感じ。
弘翔の住む世界、極道が生きる世界ってこんななんだ…
