キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴って、帰る準備を始める。

俺はサッカー部だけど、今日は練習はない。

早く帰って、ゲームしよ。


「ミナミ、今日は部活ある?」

「ないよ、シュンは?」

「俺もない。久々に一緒に帰れる…。」

「あー、今日はその。ごめん…!ちょっと用事があるから、先、帰っといて。」

「わかった。また明日な。」

「バイバイ。」





ついてねぇな…。

そんなことを思いながら、校門へと足を進める。


「シューン!おい、待てよ!」

「健太…。お前も帰るのか?」

「お前と同じサッカー部なのに、部活があるわけないだろ?」

「でも、委員会とか…。」

「もう全部終わらせた。仕事のできる奴は、すぐに終わらせるんだからな!」

「それ、自分で言ったらおしまいだろ。」


同じ部活の健太は、生徒会執行部の役員の一人だ。

勉強もスポーツもできて、スタイルも顔も抜群。おまけにこの人柄の良さ。

とにかくモテる。


「帰ったら、一緒にゲームやんない?」

「シュンのいえで?」

「そうそう。」

「いいのか?急におじゃまして。」

「大丈夫。4時半にうちに来て。」

「わかった。」


そのまま靴箱へ行き、靴を履き替える。

すると…。


ハラリ、と健太の靴箱から封筒が落ちた。


「ん?なんだこれ。」

「どうせ、ラブレターなんだろ?健太はモテるからな。」

「そりゃないだろ…。って。」

「「そんなことあった…。」」


その手紙には、よく見たことのある筆跡で、簡潔な文が書かれている。


『高橋健太君

今日の4時半、A組のクラスに来てください。』


差出人の名前は書かれていない。

その字は、ミナミの字に、そっくりだった。


「どうするんだ?」

「どうするって…。こんなの、いたずらか何かだろ。」

「本命かもしれないぞ?」

「本命って…。」


健太はいいやつだ。

だから、俺との約束を守れなくなることに罪悪感をも抱いている。


「俺のことは気になくていいよ。」

「シュン…。わかったよ、行ってくる。」