「あっ、髪飾りがズレてる。
マリさんこっち向いて」



あと少しで皆さんの前に出る、という所で隣に立っているテオが声をかけてくる。



「本当?丁寧に直してね。」


「わかってるって

髪の毛ちょっと当たっちゃうかもしれないから、目瞑って」



髪の毛が当たっちゃうくらいのところに髪飾りなんてあったかしら、と思いつつ目を瞑る。



チュッ



──テオが私の口にキスをした。



「んなっ!」



驚いて目を見開く。


視界に入ったテオの顔はいたずらっ子みたいな笑顔を浮かべていて。



「へへ、さっきの仕返し~」



ぶさいくなのに、可愛いと思ってしまうのは惚れた弱みかも。



「もう!バカ!!」