Day4
私はただ一人天井を見上げていた。病院独特の真っ白な天井を…
「私は本当にひどい人間だなぁ」
先生に対して帰ってくださいって…本当に最悪。
スマホなんてものを使えるわけもなく、ただボーッとしているか、もしくは勉強をしているくらい。本当に暇だけど、お見舞いにくる友達もおらず暇をもて余していた。彼がここにやって来るまでは…

「入ります」
「…!」
(誰かと思ったら私をいじめてきたやつ?!逃げなきゃ!)
「待ってくれ、逃げないでくれ‼謝りに来たんだ!」
(えっ?謝りに…来た…?)
「まず名前を言わないとな。江田広司(ごうだひろし)。みんなからは江田(えた)って呼ばれてる。けどまぁ、喋れなくなったんだな…それもこれも俺のせいだな…申し訳なかった」
すると土下座までして謝ってきた。
「お前をいじめてたやつらは俺が少しの間押さえるから、お前仲いいよな、片端先生と。言っといてくれ。それじゃ‼」
(待って‼)
って言おうとしたけどやっぱり声にはならないらしく、行ってしまった。まるで私の声が聞こえていないかのように、というか、聞こえてないか。だって言葉がはなせてないんだから。どけど、だけどなんだろうこの気持ち...これこそ恋...なのかな...
というか、江田君、名字変わってるから忘れてるよね・・・たぶん。一度付き合ったことあるのに・・・
だけどやっぱり、先生に恋するよりよっぽどいいかもしれない。
だけど、本当はやっぱり片端先生が好き…だけど無理ってことくらいわかってる。うん…
「入ってもいいですか?」
片端先生の声に反応したかったけどやっぱり声がでない。もう悔しいの一言では表せない。それくらいの悔しさだった。
「やっぱりまだしゃべれんませんか?」
カキカキ
[はい、まだ無理です]
筆談になっても会話はしたかった。だけど、本当は・・・声は、出るようになっていた。
それをまだ先生に隠している。もしかしたらもうばれてるのかもしれないけど、ね。
「香澄さん。本当にごめん。約束守れなくて」
「いいんです。約束は守れなくても、学校側にまで伝わってないから・・・あっ」
油断した私がバカだった。つい声を出してしまった。
「香澄さん、しゃべれるようになったんですか?」
「あっ・・・はい、そうみたいです」
「よかったじゃないですか、声が出るようになって」
先生は素直に喜んでくれた。
今私ってどんな顔してるんだろう。
辛い顔してるかな?怖い顔してるかな?笑ってる顔かな?それとも・・・
なにかに怯えてる・・・かお・・・かな?
「?どうかしましたか?香澄さん」
「いいえ!そういう訳じゃないんです・・・」
聞いてみた方がいいよね・・・きっと・・・
「先生・・・」
「なんですか?香澄さん」
すごく信頼の出来る声だった・・・悲しいほどに
「今私ってどんな顔してますか?」
聞いてみると先生は少し考えたあとにこう言った
「思い詰めてる顔・・・ですかね・・・でもそのなかにどこのなく嬉しいという感情が混ざってますよ」
「え?」
思い詰めてるのは正直私でもわかった。だけどどことなく嬉しそうな顔?なんで私は嬉しいの?
それだけがわからない・・・なんで?先生と話せて嬉しいの?それとも・・・江田君が来てくれたから?・・・もう・・・わかんないよ・・・
「香澄さん?どうしました?やはり気分が優れませんか?」
「はい・・・そう、みたいです」
「そうですか………今日のところはこれで失礼しますね。早く元気になってくださいね…香澄さん………」
「はい、先生。」
私はどうしようか迷ったのです。本当に。
私はいつまでも先生に頼るのかな………先生に頼る生活なんてわたしはしたくない。だけど…江田君のこともあるし…もしかしたら、江田君はの本当に私を助けようとしているのなら、先生に頼ることはしたくない…
わたしはタどうしたらいいんだろう……ドウシタラ………
「香澄さん。焦ったり、溜め込まないでくださいね。それじゃまた」
先生………私はどうしたらいいんですか?とは言えずに先生を見送ってしまった
「溜め込んじゃいますよ………先生」



「おれはなにやってんだかな。本当に」
そんなこと言うこのおれ、片端康孝は苦難していた。
なぜなら、本来なら見舞いにも行かない俺がこんなとこに通っている・・・
香澄さんのために通っているのがにわかに信じがたい。
「どうせ、助けてもいずれ忘れられるんだろうな・・・」
そんなこと思ってる矢先・・・
「片端先生・・・ですよね?雪乃宮高校2年江田広司です」
声のする方へ顔を向けると知ってる顔があった
「君は・・・数ヶ月に香澄さんを・・・」
「・・・はい・・・そうです」
俺が思い出したように言うと江田は辛そうな顔をして言った
「あのときはああするしかなかったんです・・・一刻も早く逃がすためにはああするしか・・・」
「片端先生・・・あっ」
あっ・・・と思ったら大体もう遅い。俺が江田と話してるのを香澄さんに見られてしまったからだ。
「江田君・・・だよね」
「あぁ、学校で会いたかったけど、もう声は出るようになったんだな」
俺は驚いてしまった。なににかって?そんなこと決まってるだろうよ
こうして香澄さんが。他人と普通に話していることにだ
「香澄さん。江田君とは知り合いだったの?」
「実は・・・その・・・一度私のところに来たんです・・・その前にもあったことあります」
香澄さんからの驚きの発言に俺は固まっていたが、さらに江田君が追い討ちを掛けた
「実は中学が一緒だったんですが、そのとき付き合ってました」
えっ、と思ったら香澄さんが
「江田君・・・覚えてたの?名字変わってるのに、忘れてなかったの?」
香澄さんが、泣きそうな声で聞いた
「一度好きになったやつを忘れはしないよ俺は」
イイハナシダナーと思いつつ聞いてみた
「江田君はなんで、一度愛した人をいじめてたんだ?」
香澄さんが目で(何てこと聞くんですか!)と言ってるような気がしたが俺は気にしない
「・・・おれもいじめられてたんですよ。それでさらにしたをいじめるようになって、それで香澄を・・・」
すごく典型的だけど、すごくあり得そうな話だとは思う実際おれの過去にもそういうことはあったから
「それが良くないことだとは分かってたでしょ?江田」
口調を変えたからか、江田の表情に恐怖の色が出てきた。
すると
「江田君…あのさ、…えいっ!」
香澄さんがとった行動は江田を抱き締めることだった。
「えっ?!ちょっと!香澄!?」
江田は困惑していたが、香澄はお構いなしに、抱き締めた。
「私、分かってるから、江田君・・・涙、流さないで・・・」
そういう香澄の声を聞いた俺は江田の顔を見てみると
本当に涙を流していた。
「俺がこれから、守るから!絶対にいじめしないから!だから、嫌いにならないでくれよ!」
江田はそうやって香澄に言うと「うん」と言って抱き締め続けた。
俺だったら、背後に回り込んでスリーパー・・・
「片端先生。余計なこと考えてませんよね?」
本当にエスパーかと思ったら
「こら、他人の心を読むんじゃない」
という江田の声が聞こえてきたため、ほぼ確実となった
香澄さん。やっぱりエスパーじゃねぇの?
と思った矢先、「エスパー言わないでください」という声が聞こえてきたため、ほぼではなく確実となった。
しかし、まぁ。場所考えてくんねぇかな・・・本当
と思いつつその場をあとにした。