いつかふたりで見た星空によく似た。
ふたりだけの秘密のあの、星空。


……忘れてなかった。
ちゃんとまだ。ふたりの思い出でした。



「捺くん……!」



「待ってろ。」



そう言った捺くんは私の手のひらからピン留めを取って。
私の髪にそっとつけた。



「必ず、俺から会いに行くから。」



「捺くん。」



「そのピン、やるから。
 お前の隣はあけておけ。
 誰かに譲ったら許さねえからな。」



「……はい!」



「ばーか。」



捺くん、捺くん。
約束、守ってくれてありがとう。


そっと私の頭を撫でてほほえんだ捺くんは。
私の腕を引いて抱きしめた。


いつだっただろう。
最後に抱きしめてくれたのは。
小学校の頃、以来だろうか。
横を向けば捺くんの顔が見えたのに。
今は、胸に顔をうずめるくらい差が出来た。