思わず頬をつねるけど痛くて。
これが夢じゃない事を物語った。


捺くん……、捺くん。
遅いですよ。
私、待ちくたびれちゃいましたよ。



「捺くん……。」



「香織。」



何日ぶりに話すだろう。
何日ぶりにこうやって目を合わせるだろう。


いつぶりだろう。
真正面から捺くんの姿を見たのは。
横顔じゃない、捺くんを見るのは。


記憶のパーツを組み合わせた捺くんと、目の前の捺くんは。
少し違って。
今の方がもっと、かっこよく見えた。



「遅くなってごめん。」



「待ちくたびれました。」



「……これ。」



差し出されたものを受け取って。
袋の中に入っているものを取り出すと。



「これ……。」



小さな星がたくさんついたピン留めが。
星空みたいなピン留めが入っていた。