こんなお別れの仕方になっちゃったけど。
でも、平気です。
もう、覚悟はできてますから。


空を見上げればいつの間にか曇り空で。
いますぐにでも雨が降ってきそうだった。


雨、って言うと捺くんを思い出しますね。
私と捺くんが一緒にいる時よく雨、降ってましたし。
私が雨女なのか、捺くんが雨男なのか。
きっと、ふたり揃うと雨が降るんでしょうか。


……じゃあ、今から会えるんですか?


ばかみたいですね。
捺くん風に言うと、ばーかですね。


まだ信じちゃう。
ほんと私、ばかですね。


ひとり思い出して、ほらまた泣きそうになる。
こうやって私だけまた捺くんを想ってる。



「香織!!」



またひとり……。
私だけ、捺くんを……。



「香織、待て!!」



階段の方向を見ると、息を切らした捺くんが。
プラットホームにいる私めがけて走ってくる姿が見えた。


うそ、まぼろし?
それとも夢?