最後の学校でも、結局捺くんと話すことはできなかった。


このままお別れになるのかな。
私たち、ずっと一生このままなのかな。
気まずいまま離ればなれになるのかな。


……捺くんの中の私、消えちゃうかな。


そう思うといても経ってもいられなくて。
1番、胸がじくじく痛んだ。
忘れられるの、嫌だ。
最後の思い出がこんなの、嫌だ。


捺くん。



「希美ちゃん。」



「どした。」



「お願いがあるんですけど……。」



「なんでも言って。」



「捺くんに、“ふたりの秘密の場所で待ってます”と伝えてもらえますか?」



「いいけど、伝わるのそれ?」



「はい、捺くんになら伝わります。」



「絶対伝えとく。」



「ありがとうございます。」



捺くん、待ってますよ。
私、ずっと待ってますよ。