『ほんとですか?』



『ほんとほんと。』



『約束ですよ?』



『約束。』


_________


「約束って言ったの、お前だろ。
 ……ばーか。」



香織が引っ越すことを知ってから数日経った。
あの日、突然の知らせにむしゃくしゃして。
香織にあたってしまった。


香織が悪いわけじゃない。
誰も、悪くない。
俺だって引っ越しの経験がある。
友達と離ればなれになる経験だってした。
香織の気持ちだってよく分かる。


そう分かっていても。
このイライラをぶつけずにはいられなかった。


ほんとガキだな、俺。


あんな風に香織を傷つけて。
泣かせてしまった。
小さいころから上手くいかない。
香織の事になると、素直になれない。