「私の香織~!
 離れても友達だからね!」



「はいもちろんです!
 希美ちゃん大好きです!」



「ああかわいい、かわいいよ香織。
 もう離さないんだから!」



希美ちゃんが私の分まで元気にふるまってくれたおかげで。
マイナス方面に考えないようにしてくれたおかげで。
落ち込む時間が少なくて済んだ。


大丈夫、ですよね。
捺くんと会えなくなるって決まったわけじゃないし。
方法はいくらでもありますよね。


大丈夫、大丈夫。
そう言い聞かせて、私は捺くんに言う決心をした。



「捺くん、帰りましょう。」



「珍しい、香織の方が早いなんて。」



「そんなことないですよ!
 私だってやればできますよ!」



「はいはい、帰るぞ。」



すたすたと歩いていく捺くんに後ろからついていく。
懐かしいな。
小さい頃はいつも前を歩く捺くんを追いかけたんだっけ。


待って、って言っても。
早く来いよ、って言ってもっとスピードあげて。
どんどん開く距離に涙目になっていたら。
どんくさいなあって言いつつも迎えに来て手を引いてくれる。