私の名前は國村 幸。
人付き合いが苦手で、特定の友人と仲良くすることは今までなかった。周りの女子達が話すような恋なんてもちろんない。そもそも私は興味すらない。恋愛なんて必要ない、そう思っていた。彼と出会うまでは。

──2ヶ月前。
*4月10日 〈入学式〉
式が終わり生徒達はクラスに集められた。

「ゆきちゃーん!」そう呼ぶのは後ろの席の鶴岡 真実(つるおか まみ)。彼女は私と同じ中学校で少し仲の良い子だった。

「ああ、真実。おはよう。」

「ゆきちゃんと同じクラスで良かったよ〜〜!!」

「私も不安だったから。同じクラスで安心。」

──── ガラガラ

「はーい。席につけー。今日から1年間このクラスの担任にをします。高橋 透です。よろしく!今日は半日で学校終わりなので、明日クラスの役員とかきめるけんなー。」
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この日は半日であっさり終わり、話せる友達も多少出来た。

*4月11日

「じゃあ、今から役員決めしようか。とりあえず前期から決めるけん。学級委員から決めようか。やりたい奴は?」

「先生。私がやります。」
どうせ決まらないだろうと思ったので手を挙げた。

「そーかそーか!ありがとう。じゃあ女子は國村で決まりだな。じゃあ男子は……………
よし。これで前期役員は決まりだな!じゃあ今から恒例の自己紹介いくか!1人ずつ出身中学から趣味とか好きなこと言ってって。」


「赤川 紬です。好きなことは…………

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「國村 幸です。好きなことは読書です。よろしくお願いします。」

「鶴岡 真実です!好きなスポーツはテニスです!!よろしく〜!!」

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「よーし。じゃあ最後は先生だなー。高橋 透です。担当の教科は英語です。好きなことはバスケットボール。ちなみに彼女はいませーん!笑」

「聞いてねーよ!!笑」とクラスの男子が言う。

「え?みんな気になってたんじゃないの?」
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クラスの雰囲気は一瞬で明るくなった。そしてこの時私は、ああこの人は苦手だと認識した。

「とりあえずこの1年楽しく過ごそう!以上!今日まで半日で明日から授業もスタート、気合い入れて頑張れよ!今日はこれで終わり!解散!」

「せんせー、さよーなら!」
「じゃーねせんせー!」

「気をつけてなー。あ、國村。ちょっといいか?」

「はい?」

「國村お前、朝なんかあったのか?」

「別に何も無いですよ。それじゃ失礼します。」

「ああ、気をつけて帰れよ。」
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今朝、本当はまた親に色々言われた。こんなこと毎日だ。私の家庭環境が少し特殊なだけ。仕方ないんだ。私は冷たいから。