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「良かったら、一緒に食事しません?楢崎(ナラサキ)さん」
「へ?」
広い広い食堂でひとり。
高校の食堂とは思えない敷地面積にきらびやかな装飾品。
まるで洋画の世界を思わせるその場所で絵本から飛び出したような学園の王子様が少女に声をかける。
優しいハニーブラウンの髪の毛は柔らかく毛先が少し内に巻かれ、夕日を閉じ込めたようなオレンジ色の瞳は真っ直ぐ少女だけを見つめている。
食堂で昼食を摂ろうとしていた【楢崎優樹菜(ナラサキユキナ)】にかけられた声には聞き覚えがあり、頭の片隅で目の前の彼を想像する。
食券を使って買った野菜メインのランチから目を離し、見つめ返せば思い描いた通りの人がいた。
「ふふ。わざわざそんな事しなくても普通に座ったら良かったのに」
「でも面白いじゃん。一瞬にして人消えちゃったし」
以前から面識のある二人の間にふわりと咲いた花が辺りを包み込む。
爽やかな笑顔を保つ【大原優(オオハラユウ)】は無駄な動きひとつない動作で少女の向かい合う席に腰掛ける。
優樹菜も絵本の中で幸せに笑うお姫様のように学園中で【三大美女】と言われるくらいに美少女だ。
栗色のふわふわと手触りの良い髪に、どこかピンク色の混じった茶色の大きな瞳。


