少し黒ずんだ部屋に所々穴の空いた壁。
それとは不釣り合いの机やソファーなどの家具。
「………ハコ」
か細い声にいち早く反応した蓮は霧斗に聞き返す。
「【箱】?箱がどうした」
「………あれ。……動いた、」
前髪で顔を隠しているせいか表情はわからないが、声色だけを聴くとどこか楽しそうに呟いている。
カタん。カタッ………
誰もが最悪の場合を想像する中、霧斗が指差す方へ視線を移す。
壊れたブリキのおもちゃが息を吹き返したように動き出す音。
それがただのおもちゃなら良かったのだが、動いたのは掌サイズの小さな箱。
「えっ、ネー?なんか、あの箱サー」
「う、動いたな」
「イヤイヤ。箱って無機質じゃん?って、ことはさ、動くわけないじゃん、?」
日菜の問いかけに誰も反応しない。


