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「……ここだよな」



広い廊下でよく似た双子の弟。

【青瀬冬馬(アオセトウマ)】の声が響き渡る。
黒髪に黄色い瞳。一卵性の双子は口調以外はそっくりすぎて親でもたまに間違えるほど。



クールな外見の所為か皆遠慮して話せないというか、遠くから見つめていたい系のイケメンだ。

確認するように隣に立つ兄に問いかけたのは【第三会議室】と書かれたプレートがある場所だった。

念のためと優に渡された校内マップ表を頼りに着いた先は廃校舎の生徒は愚か、先生も誰も通らないような場所で、噂ではもう使われていないと聞いていた。



「ああ。合ってるはずだ。優が地図を残して置くくらいだからな。間違ってないと思うぞ」



敷地面積はおよそドーム五つ分。

マンモス校と呼ばれる【私立桃坂(モモサカ)高等学校】に長年務める教師でも道に迷ってしまうほどだ。

自分たちが地図なしでここまで来るのは相当時間と体力を使っていただろう。



「というか、何だ。このメモ。『棚の並びは上下中』って」

「さーな。それは俺も分からん。が……俺と貰ったメモとは違うな」



それぞれの理由で了承し、優から二枚のメモ紙を受け取ったのはまだ新しい記憶。